2025 年、生成 AI で注意すべき 4 つのよくある落とし穴
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Kristina Behr
Vice President, Product Management, Google Workspace
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SIGN UP※この投稿は米国時間 2025 年 1 月 14 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
2025 年が幕を開けた今、あらゆる組織が競うように生成 AI の活用に取り組んでいます。しかし、新しい技術すべてについて言えることですが、その可能性を最大限に引き出すためには、よく考え抜いたロールアウト計画、導入を促進する企業文化、上層部のサポートが必要不可欠です。生成 AI を取り巻く支援体制を組織全体で整えることなく導入を進めると、スムーズに進まないだけでなく、生産性の低下にもつながりかねません。
今年の AI 計画を軌道に乗せるために、注意すべきよくある落とし穴 4 つを紹介します。
1. AI 文化を確立することの重要性を過小評価する
AI を取り入れることは最初の一歩にすぎません。その後、正しいアプローチで AI の導入を進めなければ、望むような効果は得られないでしょう。
AI 導入の成功という目標に向けて、従業員の誰もが参加意識を持てるような AI 文化を育むことが大切です。チームメンバーを巻き込みながら、AI が特に役立つと思われるケースや方法を見極めましょう。また、導入後にうまくいっている点や、見直しが必要な点についてフィードバックを求めるようします。
参加型の取り組みはそれだけではありません。生成 AI の効果を引き出すためには一定の経験が必要であり、現場での試行錯誤や学び合いが不可欠です。使い慣れている従業員が、貴重な知識を共有できるよう支援しましょう。チームが AI に慣れるまでには時間がかかるかもしれませんが、積極的に支援する文化があれば、基礎スキルをひとつひとつ積みあげていくことで AI を使いこなせるようになります。
2. AI ワークフローから人間の専門家を退ける
たとえば、新しく入った実習生が抜群に優秀だからといって、すぐにビジネス戦略の責任者に抜擢しようとは思わないでしょう。次第に重要な仕事を任せるようにはなるかもしれませんが、それでも仕事のチェックはするはずです。生成 AI についても同じことが言えます。テクノロジーの効果を最大限に引き出すためには、人間の専門家が成果を検証する必要があります。
生成 AI はさまざまなことができますが、万能なわけではありません。ビジネスの方向性など、複雑な物事の決断を下すにあたっては、AI にはない深い知識や、根拠、経験が求められます。これらは、たとえ AI に正しいデータを入力したからといってすぐに得られるようなものではありません。
テクノロジーの発展にはエラーがつきものであり、AI の回答に誤った情報が含まれる可能性もあります。現時点では、生成 AI を使って生産性を高めつつ、業務のレベルを落とさないようにするには、AI が出力する情報の事実確認や品質チェックを行うことがベストであると言えるでしょう。
3. セキュリティ リスクを軽んじる
生成 AI 製品に組織情報へのアクセスを許可すると、回答の関連性、つまり的確度が増します。しかし、安全性の低い製品に機密情報を共有すると、重要なデータが不正使用されるリスクがあります。
生成 AI データの使用手順が確立されていない場合、どの情報を非公開にすべきなのかの判断が難しく、結果としてデータ流出の危険性が高まります。データの保管と共有に関する規則も、企業における生成 AI の活用方法に影響を与える可能性があります。
生成 AI ツールを組み込む前に、AI のアクセスを制限するデータや、ツールによる情報の利用方法についてしっかり検討するようにしましょう。技術担当者とセキュリティ担当者で協力して、従業員をしっかりと導く明確で理解しやすいポリシーを規定し、従業員と組織の安全を守る必要があります。詳しくは、Gemini for Google Workspace で組織のデータのプライバシーと安全性を維持する方法をご覧ください。
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4. 適切なコンテキストなしでプロンプトを与える
生成 AI を使い始めたばかりのユーザーにありがちなのは、プロンプトが誤って解釈されることにストレスを感じ、このテクノロジーの使用を完全に諦めてしまうことです。生成 AI ツールは対話型のアプローチに基づくものが多いですが、効果的なプロンプトを書けるようになるにはコツの習得が必要です。
人間との対話と同様に、生成 AI モデルの回答の質を高めるには、適切な情報をインプットする必要があります。しかし、どのような情報をどのように提示すればよいのかは必ずしも明確ではありません。効果的なプロンプトを書くには、ペルソナ、タスク、コンテキスト、フォーマットを含めるのがコツです。必ずこの 4 点すべてを含める必要はありませんが、コンテキストをできるだけ多く提示するようにすると、AI の回答の関連性が増します。
また、特に便利なプロンプトを他のチームに共有すると、時間の節約につながります。さらに、共有可能な Gem(一定の指示を記憶した、特別な「人格」の Gemini)を作れば、チームでよく使用するプロンプトを繰り返し書く手間が省けるだけでなく、必要な情報を持った AI を活用できるようになります。
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Gem では、ニーズに合った生成 AI エージェントを探したり、作成したりできます。
2025 年は AI の成功に向けて前進を
組織に生成 AI を導入することは大変な作業に思えるかもしれませんが、働き方に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。考え抜かれたロールアウト計画、上層部からの支援体制、協力し合える企業文化を整えることで、摩擦を最小限に抑えて、さまざまな状況に自信を持って対処できる生成 AI ユーザーを育てていくことができます。
-Google Workspace プロダクト管理担当バイス プレジデント Kristina Behr