ホットスタッフ: Google Workspace、Chromebook 、Gemini で実現する堅牢で柔軟な働き方

Google Cloud Japan Team
「徹底した地域密着」を掲げる株式会社ホットスタッフ(以下、ホットスタッフ)。同社ではかつて、セキュリティへの懸念から社外での業務を制限していました。しかし、現場の要望を受け Google Workspace と Chromebook を導入。場所を問わず安全に働ける環境を整えたことで、移動時間を大幅に削減し、本来注力すべき業務に時間を充てられるようになりました。AI 活用による業務変革も進む同社の取り組みについて、導入を牽引したプロジェクトリーダーと現場での活用を推進する担当者らに話を伺いました。
利用しているサービス:
Google Workspace, Chromebook, Google Meet, Gmail, Google Chat, Google Workspace with Gemini
利用しているソリューション:
Digital Transformation
さらなる「地域密着」を深化させるため、移動時間の削減とセキュリティの両立へ
製造業から事務・サービス業まで、地域に根差したきめ細やかな人材サービスを提供するホットスタッフ。同社は「あなたに近い派遣会社」として、全国 120 以上の拠点で徹底した地域密着型の事業を展開しています。その強みである、営業担当者が企業や派遣スタッフのもとへ足繁く通う「マンツーマン サポート」をさらに強化し、より地域密着していくためには、従来のシステム環境と厳格なセキュリティ ルールを見直す必要がありました。
IT 部 IT サポート課 課長の大谷 正義氏は、当時のシステム環境が抱えていた課題を振り返ります。


「以前は "会社のデータには社内からしかアクセスさせない" というルールを徹底していました。VPN を使った社外アクセスも認めていませんでしたので、営業担当者は外出先で少し時間が空いても、資料を確認したり事務処理を行ったりするためだけに、わざわざ拠点に戻らなければならない。移動が積み重なれば大きな時間のロスになってしまいます。」
現場の負担は移動時間だけではありません。愛知県の尾張エリアを管轄するホットスタッフ小牧でコーディネーターの統括を担う幸村 李菜氏は、ファイル共有に伴う業務の非効率さを指摘します。
「営業担当者は派遣スタッフ様への "巡回" を大切にしており、契約書の更新や現場での悩み相談などで頻繁に外出します。しかし、以前の環境では外出先でシステムの確認もままなりません。例えば、巡回中にスタッフ様から退職の相談を受けた際、社外で求人リストを確認できなかったため、次の仕事を紹介できず……一度事務所に戻って紹介可能な企業を探し、後日改めて提案に行くというフローが発生していました。移動だけで往復 30〜40 分かかることもあり、1 日に何度も往復するとそれだけで半日が潰れてしまうこともありました。」
また、内勤業務においても、以前の表計算ソフトではファイルの同時編集ができず、誰かがファイルを開いている間は作業が止まってしまうなど、非効率な状況が発生していました。
同時に、IT 部門は別の危機感を抱いていました。現場の写真や動画など、送受信するデータ容量が増大する中で懸念されていた、会社が許可していない端末やサービスを業務で利用する「シャドー IT」のリスクです。大谷氏は導入検討時の懸念を語ります。
「例えば、大容量のデータを送る無料のクラウドサービスを現場が使ってしまうリスクを、禁止するだけで防ぐには限界があります。公式に使える便利なツールを用意しなければ、本当の意味でのセキュリティは守れないと考えました。」
「コンテキストアウェア アクセス」が決め手に。安全なモバイルワークを実現
「場所を選ばずに働ける環境」と「堅牢なセキュリティ」。この相反する課題を解決し、現場から上がっていた「効率的に働きたい」という声に応える決め手となったのが、Google Workspace でした。特に経営層の懸念を払拭したのが、Google 独自のセキュリティ機能「コンテキストアウェア アクセス」です。
大谷氏は、この機能が選定の決定打になった理由として、セキュリティの柔軟性を挙げます。
「コンテキストアウェア アクセスは、単なる ID とパスワードによる認証だけでなく、"会社が許可した端末" かつ "セキュリティ ポリシーを満たした状態" でのみアクセスを許可する機能です。IP アドレス制限のような場所の縛りをなくしつつ、会社が管理していない個人のスマホや、OS のバージョンが古い危険な状態の端末からのアクセスは遮断できる。この "端末単位で制御できる" という点が、個人情報という機密性の高いデータを扱う当社において、セキュリティを最優先する経営層の納得を得る大きな鍵となりました。」
また、約 2,000 名の社員に対しスムーズに浸透させるための工夫として、大谷氏は「段階的な導入」を挙げます。
「従来のツールに慣れ親しんだ文化が根強いため、急激な変化は現場の抵抗を招きかねません。そこで、まずは全社員にアカウントを配布して "ログインしてもらう" ことから始めました。次にウェブ会議を Google Meet に統一し、その後に Gmail や Google Chat へ移行する。このように段階的にツールを解放していくことで、現場が少しずつ慣れながら自然と新しい環境に移行できるよう配慮しました。」
さらに、端末には Chromebook を採用。データが端末に残らないため紛失時の情報漏洩リスクを最小限に抑えられるほか、管理面でも劇的な効果をもたらしました。大谷氏は Chromebook 導入によるキッティング作業の負担軽減について明かします。
「従来の PC の時は 1 台あたり OS のアップデートや各種設定で 1〜2 時間かかっていました。それが Chromebook なら、箱から出してログインするだけでほぼ完了します。現在までに約 200 台を導入しましたが、数人分の人件費に相当する工数削減効果が出ていますね。今では新規拠点の開設時やリプレイス時には Chromebook を選択するケースが増え、現場からの発注数も逆転しつつある状況です。」
求人原稿作成時間 90 分が 20 分に短縮。現場主導で進む Gemini の活用
基盤整備に続き、同社は Gemini を全社に導入し、業務プロセスのさらなる変革に着手しました。人材派遣業において最も効果を発揮しているのが、求人原稿の作成業務です 。幸村氏は、AI 活用による劇的な業務効率化について語ります。


「求人原稿の作成は、ターゲットとなる人物像(ペルソナ)の設計から、魅力的な文章の構成まで、非常に頭を使う作業です。以前は 1 本仕上げるのに 60〜90 分ほどかかっていました。それが今では、Gemini にターゲットや条件、会社の雰囲気を伝えるだけで、たたき台となる原稿が瞬時に生成されます。修正を含めても 20 分程度で完了するようになり、業務効率は劇的に向上しました。」
さらに、全国展開する同社ならではの活用法として、各拠点ごとの文章のトーンやルールを学習させたカスタム AI 「Gem」を活用するプロジェクトも進行中です。大谷氏は、「拠点やエリアによって、好まれる言葉選びや温度感は異なります。"この拠点風に書いて" と指示するだけで、その地域に合った原稿が出せるよう、求人内容の統括を行う広報部と連携して調整を進めています」と、地域ごとの特性に合わせた運用の工夫を明かします 。
こうした新しいツールの定着を支えているのが、IT 部門主催の「Google Workspace & Chromebook 活用勉強会」です。
「ただツールを渡すだけでは、一部の人からしか使われません。オンラインで画面を見せながら、"スプレッドシートにはこんな便利な機能がある" "Gemini はこう使うと便利" と実演し、まずは触ってみようと呼びかけました。参加者からは "すごく勉強になった" という声が上がっており、各拠点のマネージャー層を巻き込むことで、現場主導の活用が広がっています。」
また、AI 活用のルールとして「AI はあくまでサポーターであり、最終的な責任は人間が持つ」「必ずファクトチェックを行う」ことを徹底し、安全な利用文化の醸成にも努めています。
最後に、大谷氏はテクノロジーと共に進化し続ける決意を語りました。
「Google Workspace や Gemini の進化のスピードは速く、毎週のように新しい機能や発見があります。私たち IT 部門もその進化を必死にキャッチアップし、今回のアップデートでこの課題が解決できるのではないかと常に考えています。今後も進化する機能を現場の業務改善に繋げていくことで、お客様、スタッフ、地域社会の "三者満足" を追求し続けていきたいですね。」


株式会社ホットスタッフ
1999 年の設立以来、 "あなたに近い派遣会社" として地域密着型の事業を展開。「お客様・派遣スタッフ・地域社会 "すべての満足" を徹底的に追求し、笑顔あふれる社会の実現に貢献すること」を理念に掲げ、製造・物流・事務・サービスなど幅広い分野で、企業と求職者の最適なマッチングを提供。現在、全国に 120 以上の拠点を構え、きめ細やかなマンツーマンサポートを行っている。
インタビュイー(写真右から)
・IT 部 IT サポート課 課長 大谷 正義 氏
・ホットスタッフ小牧 コーデ統括課長 幸村 李菜 氏
・広報部 広報課 課長 中川 信代 氏
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