SBCメディカルグループ: Google Workspace と Gemini の活用で、データドリブン経営と顧客・スタッフ・社会への貢献を推進

Google Cloud Japan Team
先進的な美容医療をはじめ、皮膚科、整形外科、不妊治療、歯科、AGA(男性型脱毛症)、眼科など幅広い診療領域において国内外の医療機関に経営支援を行う SBCメディカルグループホールディングス(所在地: 米国カリフォルニア州、CEO: 相川 佳之)。その連結子会社である SBCメディカルグループ株式会社(以下、SBC)は、Google Workspace や Gemini を他に先駆けて導入し、積極的に活用してきました。今回はシステムの選定や導入、活用に携わる 3 名に、これまでの歩みと成果、今後の展望について伺いました。
利用しているサービス:
Google Workspace, Google Workspace with Gemini, NotebookLM, BigQuery
Google Workspace 導入で、業務効率化と「データドリブン経営」を推進
2000 年に神奈川県藤沢市で創業した美容医療クリニックをルーツとする SBC は、現在では多様な診療領域を担う医療機関に対し経営支援を行う総合医療グループへと発展しています。「メディカルイノベーションで世界中の人々の『幸福度』向上に貢献する」というグループパーパスのもと、国内外で多数のクリニック ブランドを展開し、米国・アジアを中心とした事業基盤の強化およびメディカル ツーリズムへの取り組みを進めています。同社は 2012 年に Google Workspace を導入し、医療法人とバックオフィスの双方で、独自の基幹システムと共に運用してきました。情報システム部 ITサポートグループ グループ長の小林 綾那氏は、導入の背景を次のように説明します。


「創業初期、弊社は小規模体制で運営されており、連絡手段に個人用の Gmail が利用されていました。しかし週末も含めてシフト制を敷いており、各人が個別にアカウントやコミュニケーション、ドキュメントを管理する方法も事業拡大につれて非効率性が顕著になってきました。そこで IT 基盤の刷新が決定されました。」
小林氏によれば、Google Workspace が採用されたのは、安全性の高さ、コスト パフォーマンスの良さ、直感的に操作できる共同編集機能の便利さなどによるものでした。
「私が入社したのは導入の数年後ですが、Google Workspace のデータ保持と電子情報開示用のツールである Google Vault は、導入を決定した大きな材料となりました。また、セキュリティが堅牢でも、エンドユーザーにとってわかりにくい、使いにくい、知らないツールは導入が難しいのですが、Google Workspace は親しみやすさと安全性が高いレベルで両立されていました。」


Chief Information Officer の中川 帝人氏は、Google Workspace の導入が、データ活用を加速させる触媒にもなったと捉えています。
「導入の際には、コールセンターで利用されていたマニュアル類なども Google スプレッドシートで整理されました。もともと Google のサービスはデータの連携や解析能力が非常に高いので、社内システムのデータも BigQuery に格納し、Google Workspace と連携しました。この運用体制は『データドリブン経営』の原動力にもなってきました。」
安心安全な Gemini の利用がもたらした、マーケティングの飛躍的充実
以降、SBC は業務効率化とサービスの品質向上を追求して躍進を遂げてきましたが、2024 年に大きな転機を迎えます。それが生成 AI の活用でした。まず 6 月には第 1 フェーズとして、経営戦略本部の役職者と情報システム部のメンバーによって、技術検証と利用方法の検討がスタート。11 月には第 2 フェーズとして、生成 AI の利用が多かった部門と本部スタッフを中心に、Google Workspace with Gemini の利用が拡大されました。
この際にも最優先されたのは、やはり情報ガバナンスの徹底でした。美容医療では、個人情報の保護およびコンプライアンス遵守が特に重要となるためです。
「当初は、社員が機密情報やお客さまの個人情報を意図せず入力してしまった場合、データがモデル学習に利用されてしまうのではないかという懸念がありました。その点、Google Workspace with Gemini は、データが学習に利用されない仕組みを採用しており、安心して導入できました。既存の Google Workspace 環境とシームレスに連携できる点も、大きな決め手になりました。」(小林氏)
続いて行われたのは、生成 AI の本格的な活用に向けて、Google Workspace 上にデータ集約することと、ユースケースの模索でした。
「アクセスログを分析したところ、各クリニックでマーケティングやデータ分析を担当している CPP(クリニック プロモーション プランナー)さんが積極的に使用していることが判明しました。これを踏まえ、どの業務で生成 AI が求められているのか、いかなる機能があれば利用が促進されるかを緻密にヒアリングし、導入計画に反映しました。スモール スタートで成功事例を作り、具体的なユースケースや効果を可視化して、利用の輪を広げていければと考えました。」(中川氏)
湘南美容クリニック 渋谷院で CPP を務める藤村 香菜子氏は、Gemini を活用したユースケースと、その効果について語っています。


「私たちの業務内容は幅広く、『質と量の両立』が求められてきましたが、大幅に課題を解決できたと感じています。個人的に感動したのは、細かなプロンプトを入力しなくても、Gemini が意図をくみ取ってくれる点です。例えばコンセプトやキャッチコピー、SNS のメッセージ作成では、必要な情報や訴求点、こちらの要望などを入力すると、自分では考え付かなかったようなアイデアが出力され、ターゲットごとに絞り込んでいけます。ハロウィーンのキャンペーンに使用するショート ムービーのサンプルも 10 分ほどで仕上げることができました。同じような便利さは、ページ作成でも実感します。Gemini は弊社のメッセージを伝えながら、お客さまに興味を持っていただける HTML を瞬時に組み上げるだけでなく、画像の挿入箇所まで提案をしてくれるので、使い始めたときにはとても驚いたのを覚えています。」
一方、分析業務では、Google アナリティクスに基づいたサイトのアクセス状況やキーワードのトレンドが精度と速度の両面で飛躍的に向上。分析に基づくアクション プランの提案や、関係者への説明も充実するようになりました。
「これまでは手動で分析したデータを PDF 化し、集計してから報告していました。しかし Gemini は分析から集計まで自動でやってくれます。分析の最終目的は、内容をしっかり社内に伝えることですが、専門用語の解説や具体的な改善案まで提案してくれるので、データ活用のスピードと質も飛躍的に向上しました。」
Gemini 導入の効果は、数字にも現れています。4 名の CPP を対象にした調査では、平均して年間 211 時間も工数が削減。データ分析による意思決定の高速化、コンテンツ企画と制作の自動化、日常業務の効率化と顧客サポートの充実は、顧客、スタッフ、社会のすべてに資する「『究極の三方良し』を実現する」という、理念の実現にも寄与してきました。


Google Workspace と Gemini の組み合わせが持つ、唯一無二の強みを活かす
SBC の意欲的な取り組みは、その後も継続しています。2025 年 1 月、Gemini が Google Workspace に標準搭載された際には、第 3 フェーズとして Gemini の利用枠を約 4,500 名に拡大。5 月には第 4 フェーズとして、経営支援先クリニックを含むグループ全体に Google アカウントが発行され、約 9,500 名が Gemini を利用できる環境が整備されました。
これら一連の取り組みは、2023 年にスタートした「ITグランドデザイン」の延長線上にあります。中川氏によれば、Google の検索ツールの統合によるグラウンディングの強化、Deep Research による回答精度の向上など「Gemini の想像を超える進化」も、利用拡大の追い風になりました。
SBC ではマーケティング以外にも、カウンセリングやシステム管理、人事、採用、社員教育など広範な部署で利用が普及。中川氏は、そのダイナミズムを詳しく説明しています。
「多くの現場では、業務ノウハウが特定の熟練者による『一子相伝』の状態にあり、ドキュメント化が不十分だったり、複数のドキュメントが存在したりするため、誤った業務ルールが伝達されるリスクを抱えています。この状況は新しい人材の育成を滞らせ、全社的な業務品質の均一化を妨げる大きな障壁となりますが、Gemini の導入で一挙に課題を解決できます。分散していたり暗黙知となっているノウハウや業務手順を Gemini で取り込み、知識ベースとして統合することにより、業務品質の安定化と生産性の向上を図りながら、現場のデジタル トランスフォーメーション(DX)を劇的に加速させることができます。」
また、NotebookLM を活用し、社内の組織や業態に特化した AI エージェントの開発にも力が注がれています。ユニークな取り組みとしては、同社の創業者である相川 佳之氏の講演資料や書籍、SNS での情報発信などを学習させ、社員の多様な問い合わせに回答できるようにした「メンター相川」も開発されました。
Google Workspace の導入、Gemini の採用、そして全社的な活用の拡大。SBC はデータ活用においても、業界のフロント ランナー的な役割を担ってきました。現在は Gemini Enterprise と Computer Use の活用も検討されていますが、中川氏はこのような積極的な活用を支えるのが、製品とサービスへの揺るぎない信頼だと総括します。
「弊社が長年にわたって Google Workspace を活用してきた根本要因は、やはり利用者と管理者、双方にとっての使いやすさです。セキュリティ、ガバナンス、市場シェア、いずれにおいても規模の大きな組織にとって信頼できる共通基盤であり、Gemini のような技術も取り込めます。特に Gemini は応答スピード、信頼性、価格競争力で勝るだけでなく、Nano Banana のような技術も実装されるなど、生成 AI の中でも最先端を走っていると認識しています。CPP さんがマーケティングのさまざまな業務を担う、弊社独自の業務フローにも完璧にマッチしてきました。」
最後に中川氏は Google Workspace を軸にしたデータ活用のコツ、Gemini が持つ唯一無二の魅力、今後に向けた手応えを、貴重な経験を踏まえて語ってくれました。
「やはり鍵は Google Workspace との連携にあると思います。Google Meet で会議を行えば、議事録が Google ドキュメントに自動的に蓄積され、社内に点在しているノウハウや書類も、Gemini や NotebookLM で RAG 化されて有効活用できるようになっていく。こういう連携性の高さは Gemini が持つ最大の魅力の一つであり、他に類を見ない強みだと思います。弊社はまだまだ Google Workspace を最大限に活用できているわけではありませんが、生成 AI 時代の到来に向けて、データ基盤を地道に整備してきました。先を見据えた取り組みの効果は、ここからじわじわと出てくるのではないか。今はそんな期待や可能性を強く感じています。」


SBCメディカルグループ株式会社
先進的な美容医療をはじめ、皮膚科、整形外科、不妊治療、歯科、AGA、眼科など幅広い診療領域において、国内外の医療機関に経営支援を行う総合医療グループ。「メディカルイノベーションで世界中の人々の『幸福度』向上に貢献する」というグループパーパスのもと、信頼性の高い医療サービスの提供とネットワークの拡充に取り組んでいる。2012 年に Google Workspace を導入し、データの活用を通じて業務効率化、マーケティング拡充、サービスの品質向上を推進、Gemini の活用も意欲的に進めている。
株式会社サテライトオフィス
1998 年設立。クラウド コンピューティングに特化し、サテライト環境で業務を行う企業を支援する SaaS 型サービスを展開。顧客の要望を反映した「アドオンツール」を開発・提供し、7 万社を超える導入実績を誇る。Google Workspace / Google Workspace for Education の公式正規販売代理店としても、ライセンスの販売から導入支援、導入後のサポートまでをワンストップで提供している。
インタビュイー (写真右から)
・Chief Information Officer 中川 帝人 氏
・湘南美容クリニック 渋谷院 クリニック プロモーション プランナー 藤村 香菜子 氏
・情報システム部 ITサポートグループ グループ長 小林 綾那 氏
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