Google Chat が Paack のコミュニケーションと共同作業のハブになった経緯
Adrian Giacometti
Cloud NetDevOps Tech Lead, Paack
Antonio Bernabé
Cloud Infrastructure Manager, Paack
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SIGN UP※この投稿は米国時間 2024 年 8 月 13 日に、Google Workspace blog に投稿されたものの抄訳です。
Paack は、800 人の従業員と 300 のチャンネルをわずか 3 週間で Slack から Google Chat に移行しました。
要約: ヨーロッパでラスト ワンマイル配送サービスを展開している Paack は、Slack から Google Chat に移行することにより、効率性と生産性を向上させました。この記事では、Chat を活用して次のことを実現している Paack の事例をご紹介します。
既存の Google Workspace ライセンスに費用を集約する
コミュニケーションと職場管理ソリューションを簡素化する
共同作業をよりシームレスかつ安全に行える機能を提供する
ミッションと課題
Paack は、単なる 2 地点間の貨物運送の枠を超えて、テクノロジーを活用した高度かつ持続可能性の高い配達ソリューションをイタリア、フランス、ポルトガル、スペインのクライアントに提供しています。当社はコミュニケーション、共同作業、顧客へのサービス提供のための革新的な方法を常に模索しています。Google Cloud 上でシステムを運用し、2015 年の設立以来 Google Workspace を利用しているのもこのためです。
Google Workspace のおかげで、広範囲に分散しているチームの間でも、堅牢かつ敏捷なコラボレーション ツールを使用して迅速にイノベーションを進めることができています。しかしこれまで、一部の機能については依然として外部のツールを利用していました。インスタント メッセージに使用していた Slack などがその例です。こうした外部ツールは費用が高額なうえに非効率で、必要なレベルのセキュリティも提供していませんでした。そこで 2024 年の初めに、メッセージ ソリューションを Google Workspace に集約しました。これに伴い、800 人の従業員と 300 のチャンネルをわずか 3 週間で Slack から Google Chat に移行しました。
Google Chat への移行
物流ビジネスでは、コストと資源の最適化が収益性に関する目標を達成するための鍵となります。Google Chat への移行の是非を評価するにあたり、Paack には重要な優先事項が 3 つありました。
コスト効率: Google Chat は当社の Google Workspace ライセンスに含まれているため、移行に伴う追加の費用負担はありませんでした。
他のアプリとのインテグレーション: Google Chat は Google Workspace の構成要素であるため、スイート全体とシームレスに統合します。これによりコミュニケーションを効率化できるうえ、将来的には AI との統合も可能になります。
セキュリティ: 以前はユーザーのプロビジョニング、認証、権限を 2 つのプラットフォームで管理しなければなりませんでした。しかし Google Chat では Google Workspace の組み込みのセキュリティ機能を利用できるため、セキュリティの管理、Identity and Access Management、コンプライアンスへの対応をこれまでにないほど簡単に行えます。
以上の点を踏まえて Google Chat が Paack にとって最適なツールであると判断し移行を開始したものの、この移行は単に会話とユーザーを移動するだけの作業ではありませんでした。Slack と同様のメンバーシップ構造を Google Chat でも再現するため、パブリック チャンネルとプライベート チャンネル、メンバー、管理者など、Slack のすべての設定を読み込むコードを最初に開発する必要がありました。しかし Google Chat API とChat 移行 API がリリースされていたため、設定の読み込みをわずか 3 週間で完了することができました。しかも、ユーザーのアクセス権が失われたスペースは 1 つもありませんでした。
Paack の非常に多くのプロセスがインスタント メッセージにより管理されているため、現在 Google Chat は最も重要な社内ツールとなっています。たとえば倉庫作業では、1 つのシフトが終了するごとに、発生した問題を記載したレポートをマネージャーが提出しなければなりません。以前はこうした手動のレポートは、Slack で送信されていましたが、Google フォームを使用すればこのプロセスを改善できることに Google Chat への移行中に気が付きました。
改善後のプロセスでは、インシデント レポートをフォームに変換しました。また、フォームを適切な Chat スペースに統合する Google Apps Script コードを作成しました。フォームのデータは自動的に Google スプレッドシートに転送され、Google Cloud のデータ ウェアハウスである BigQuery に読み込まれます。読み込まれたデータは Google Cloud のビジネス インテリジェンス プラットフォームである Looker で活用できます。このようにすれば、Google Chat を強力なデータ収集ツールとして Paack の情報分析フローに組み込むことができます。
インシデント管理機能をさらに向上させるため、Paack は最近、ネットワークのステータス、すべての IT アプリケーションのステータス、チームに割り当てられたサポート チケットをモニタリングする Chat 用アプリを構築しました。Chat 用アプリはウェブでもモバイルでも動作するため、実質的に Google Chat 内にどこからでもアクセスできるモニタリング システムを構築したことになります。
今後の展望
技術スタックの切り替えは「あれをやめて、これを使おう」と宣言するだけでできるものではありません。移行中も移行後もユーザーが快適に使用できるようにするためには、計画、トレーニング、継続的なサポートが必要です。Paack が Google Chat に移行するときには、実践的な訓練を社員に提供し、新しいツールの使い方を実演しました。また、ユーザーが質問できるサポート専用のスペースを作成しました。どの変更管理にも共通することですが、成功の鍵はつまるところコミュニケーションと、Paack が長年培ってきたコミュニティの維持にありました。
Google Chat は今や社内コミュニケーションの要となっていますが、次は事業運営のインターフェースとしてさらに活用する可能性を模索したいと考えています。Vertex AI Agent Builder や自動翻訳などの新機能を導入したことで、今ではプロセスの効率化、社内のアクセス権限リクエストへの対応、多言語間での共同作業の促進が、Google Chat を中心に行われています。そのことが、究極的に Paack のイノベーションの原動力となっています。
-Paack 社クラウド NetDevOps テクノロジー担当リーダー Adrian Giacometti 氏
-Paack 社クラウド インフラストラクチャ マネージャー Antonio Bernabé 氏