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顧客事例

日本航空: 約 45,000 名が利用するグループウェアをGoogle Workspace に一新し、生産性向上と意識改革に成功

2024年7月30日
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Google Cloud Japan Team

国内 2 大航空会社の一翼として、旅客便・貨物便運航から、旅行販売、マイレージ事業などの非航空領域も含めた幅広い事業を展開する日本航空株式会社(以下、日本航空)。そんな同社は、約 45,000 名(※)が利用する社内グループウェアを Google Workspace へ 2022 年に刷新しました。ここでは従来環境からの移行を加速させた工夫と、その後の成果について、取り組みを主導した同社デジタルテクノロジー本部のお 2 人に伺います。(※JALブランドパートナー、協力会社も含めた人数)

利用しているサービス:
Google Workspace, Chromebook

クラウド ネイティブ環境への移行で全社員の意識を変える

経済産業省が東京証券取引所および独立行政法人情報処理推進機構と共同で選定する「DX 銘柄」に 2023 年、2024 年と 2 年連続で選出されるなど、近年、特に強く DX 推進を打ち出している日本航空。2024 年 4 月には既存 IT 部門を合併するかたちでデジタルテクノロジー本部を立ち上げるなど、さらなる改革に向けて歩みを速めています。同社が社内グループウェアを Google Workspace に刷新したのもさらなる「攻めの DX」を支える足場として、より強力なコミュニケーションおよびコラボレーション ツールが必要だったからだと、デジタルテクノロジー本部 システムマネジメント部 コミュニケーション企画グループ グループ長を務める田上 智基氏は、導入を決断した 2020 年当時をこう振り返ります。

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「その頃、私たちが問題と感じていたのが、資料作成などの業務が個々人の閉じた環境から始まり、できあがったら都度メール添付で配布していくやり方です。これだと受け取った誰かの行った修正がオリジナルに反映されることはありませんし、どれが最新のものなのかもわからなくなってしまいます。また、データを見られる環境が、保存してある PC に限られる問題もありました。これらの問題を解決すべく、データをオンラインの共有ドライブに置き、チャットでチームメンバーにリンクを送って全員でひとつのデータを共同編集できる環境を作りたいと考えたのが、Google Workspace の導入を検討したきっかけです。ほか、細かいところでは、1 つ 1 メガバイトのファイルでもメール添付で 100 人に送れば 100 メガバイトにもなり、それらが積み重なり社内ストレージの容量を圧迫してしまう問題もありました。」

もちろん既存のグループウェアでも工夫次第でこれらの課題をある程度は解決できただろうと田上氏は言います。しかし、多くの人間は環境をドラスティックに変えない限り新しいことにチャレンジしないのが実態であるとし、これを機にビジネス環境をクラウド ネイティブ化して根本的に働き方を変革させることを選びました。このクラウド ネイティブの利点について、田上氏のもとで推進役、テックリードとして Google Workspace の導入を担当した遠山 和也氏は次のように説明します。

「Google Workspace はすべての機能がクラウド ネイティブで、ウェブブラウザから利用する形に統一されています。他の選択肢では高機能なデスクトップ アプリとシンプルなウェブアプリの双方が用意されているケースが多く、結果的に多くの人がデスクトップ アプリから離れられず移行が進みにくくなってしまいがちでした。その点、Google Workspace はすべてがクラウドかつ必要とする機能が全部揃っており、既存のツールとの互換性も備えていることがありがたかったですね。」

現場からの情報発信で活用への機運を盛り上げ、移行を加速

こうして 2020 年 12 月に Google Workspace の導入を決定した日本航空。翌年、2021 年 8 月には JALグループ全社員、および JALブランドパートナー、協力会社、合計約 45,000 名に向けてアカウントを発行し、既存環境と 1 年間併用するかたちで段階的な移行を始めました。メールやスケジュール管理など影響の大きなものについても、そこからさらに半年で従来環境を廃止。2022 年 7 月の Gmail 正式運用開始(切替完了)をもって、Google Workspace への全面移行を完遂しています。

もちろんグループウェアの刷新は、切換完了したからといって成功というわけではありません。そこから、どうやって約 45,000 名の人たちが Google Workspace を使いこなせるようにしていくかこそが何より大変で、現在進行形の課題だと田上氏、遠山氏は言います。

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「2021 年 8 月からの 1 年間、まずは教育をしっかり行いました。具体的にはリモートでの説明会を何度も実施し、学習用の動画コンテンツも多数用意するなどして自発的な学習を促しています。当時、コロナ禍を受けて航空業界全体で仕事量が激減していたこともあり、多くの社員が学習に時間を取ることができたのは、不幸中の幸いだったと言えるかもしれません。」(遠山氏)

なお、動画については専門業者が提供する学習コンテンツに加え、社内でも自社の業務内容に特化した動画をオリジナルで作成。田上氏いわく「当時の移行チームリーダーが動画作りを得意としており、長く少し難しい内容のものでも『夏期講習』などと銘打つことで、つい見たくなるようなセンスあふれる動画作りをしてくれた」こともあり、効果的に社内リテラシーを高めていくことができたとのこと。

「また、社内普及のためにもう 1 つ工夫したのが、いわゆる Awareness 活動を行ったことです。私たちの窓口役となる各部署の移行担当者とは別に 30 名くらいの JALグループ社員に協力してもらい、デジタルテクノロジー本部としてではなく、個人として部署内の活用を推進してもらったり、何人かでチームを組んで新しい使い方を考えてもらうワークショップを行ったり、部署横断で Google Workspace を使いこなすことをテーマに対談してもらい、それを動画にまとめて配信するといったことを行っています。こういった取り組みは私のキャリアの中でも行ったことがなかったのですが、オリジナル動画の配信も含め、現場が考え発信していったことで、ジワジワと着実に利用が広がっていったことには強いインパクトを受けました。社内評価としても、JALフィロソフィの体現により功績をあげた取り組みを表彰する『JAL 鶴丸 Awards』を受賞することができました。」(田上氏)

Google Workspace 導入で現場主導での業務改善が進んだ

2020 年の導入以降、日本航空は 2023 年 4 月から 2 万台ある社内 PC の一部(約 500 台)を Chromebook に変更し、ハードウェアのクラウド ネイティブ化も推進中。Chromebook 導入によって、セキュリティ向上と管理負担の低減、そしてコスト削減などが実現できたと言います。当初は未体験のデバイスということで不安に感じる声もあるなか、想像よりも使いやすく、Google Workspace 中心で作業するならまったく問題ないことがわかり、今後はさらに導入を拡大していきたいとのことです。

そして、Google Workspace 導入以後の手応えについて田上氏は「導入以降の 3 年で業務改善・生産性向上のために Google Workspace をどう活用できるかを社員自らが考えるようになりました。従来環境と比べて管理側からの制限を減らし、自由度を高めたこともあって、現場主導での業務改善が進んでいます」と高く評価。

「メールからチャットへのツールのシフトが進み、やりとりのハードルも下がりコミュニケーションがより円滑になったこと、共同作業が当たり前になり、仕事の主体が『個人』から『チーム』に変わってきていることを感じています。この成果をより大きなものにしていくためにも、Google Cloud には Google Workspace を使う企業をもっと増やしていってほしいですね。利用企業が増えれば、異業種間でも生産性向上につながる事例の活用、応用を重ねていくことができ、それがひいては Google Workspace のさらなる発展につながっていくのではないかと期待しています。」(田上氏)


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日本航空株式会社
1951 年に設立された、国内で最も長い歴史を誇る航空会社。旅客便・貨物便の運航に加え、旅行販売、マイレージ事業などの非航空領域も含めた幅広い事業を展開。2024 年 3 月に就航した日本の航空会社初の中東直行便となる羽田-ドーハ線など、新規路線の開拓も積極的に行っている。連結従業員数は 37,869 人(2024 年 3 月 31 日現在)。

インタビュイー(写真右から)
デジタルテクノロジー本部 システムマネジメント部 コミュニケーション企画グループ
・グループ長 田上 智基 氏
・アシスタントマネージャー 遠山 和也 氏


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