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顧客事例

ロッテ:SAP 基盤を Google Cloud に移行し、システム停止ゼロとトータル コスト 6 割削減を実現

2022年6月14日
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Google Cloud Japan Team

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「お口の恋人」というコーポレートメッセージに基づいて、世界中の人々から愛される会社を目指す株式会社ロッテ(以下、ロッテ)。同社では、約 3 年間、他社マネージド環境で運用してきた SAP S/4HANA(以下、S/4HANA)を、安定性の向上やコスト削減、データ活用を目的に、Google Cloud に移行することに決定。このプロジェクトについて、ICT戦略部の責任者と 2 名の担当者に話を伺いました。

利用しているサービス:

BigQueryPartner InterconnectGoogle WorkspaceChrome Enterprise

利用しているソリューション:

Google Cloud での SAP(SAP on Google Cloud)

S/4HANA を SAP 認証基盤の 1 つである Google Cloud に移行

ロッテでは、1998 年 に SAP を導入し、約 20 年にわたりオンプレミスで運用してきました。しかし 2018 年に、ロッテ、ロッテ商事株式会社、株式会社ロッテアイスの 3 社が統合されたことや、SAP ERP Central Component(以下、ECC6.0)のサポート期限が、2027 年に終了することもあり、ゼロベースで基幹システムの刷新を検討し S/4HANA の導入をしました。

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S/4HANA への移行プロジェクトは、3 社統合まで約 1 年しか猶予がない 2017 年にスタートしています。ICT戦略部の緒方 久朗氏は、「スピード感の必要なプロジェクトで、当時は S/4HANA を導入している企業も少なく、SAPジャパン株式会社のサポートが不可欠なことから SAP のマネージド サービスを採用しました」と話します。

その後、約 3 年間、 SAP のマネージド サービス上で S/4HANA を運用していましたが、さらなる安定性の向上、コスト低減、データ活用の 3 つを目的に、クラウド基盤を刷新することを決定。堅牢性の高い基盤上で、より効率よく S/4HANA を運用できる方法を検討した結果、SAP の認証基盤の 1 つである Google Cloud に移行することを決定しました。

Google Cloud を選定したポイントを緒方氏は次のように語ります。「頑健性、対障害性、コスト、データ活用の 4 つです。1つ目の頑健性では、稼働実績に裏づけられた安定性や、ライブ マイグレーションによるダウンタイムの排除、国際標準のコンプライアンスの遵守と認定取得、Google Cloud が独自に設計したハードウェアによる多層セキュリティの実現など、ダウンタイムのリスクが極小化できることを評価しました。2 つ目の対障害性では、国内外のリージョンを活用した冗長化が可能な点。3 つ目は、複数年の利用による値引きや、柔軟な割引プランとリソース利用設定などで高いコスト効率を実現できる点、さらにカスタム マシンタイプで CPU やメモリを必要な分に合わせ調達できることを評価しています。4 つ目としては、今後のデータドリブン経営を考え、BigQuery や AI、機械学習、Looker や Apigee といった Google Cloud サービスによるデータ活用に期待ができることです。また 2019 年 2 月にグループウェアを Google Workspace に刷新、2020 年には Google Chromebook を導入した背景もあり、親和性の高さも決め手の 1 つとなりました。」

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さらに Google Cloud を採用した理由を ICT戦略部 システムインフラ課の池田 裕介氏は、次のように話します。「業務アプリの多くが他社のクラウド上で動いていましたが、1 社のクラウドだけを使い続けてもいいのかという思いもあり、マルチクラウド化が今後のためになると考えて Google Cloud を採用することにしました。」

ベスト プラクティスで約 7 か月という短期移行を実現

既存の S/4HANA 環境を Google Cloud に移行するプロジェクトは、2021 年 3 月より開始され、12 月初めに本番稼働しています。約 7 か月という短期間での移行を実現するために、移行ベンダー様のグローバルレベルの知見、経験に裏打ちされた Google Cloud への移行に関する業務シナリオや機能モジュールをあらかじめ定義したベスト プラクティスに基づいた基盤設計を実施することで、移行作業にかかる工数を削減しています。

また閉域網での接続環境である Partner Interconnect を利用し、ファイアウォールなどによる多段階のセキュリティを実現。不必要なサーバーの廃止や機能の統合、データベースのサイズ変更などでシステムをスリム化しています。さらに Google Cloud のバックアップ / リカバリや負荷分散などの仕組みを活用し、将来的にはディザスタ リカバリ(DR)構成による耐障害性の強化も目指しています。

池田氏は、「短期間で Google Cloud に移行できた最大の要因は、S/4HANA を導入したときの担当者でもある、中須賀さんの知見やノウハウを生かせたことです。問い合わせに対して、迅速かつ的確な対応をしてもらえた Google Cloud のサポートも短期導入のポイントでした。サポートのレベルの高さを感じることができたので、システム移行後にエンハンスト サポートも利用しています」と話します。

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また ICT戦略部 システムインフラ課の中須賀 浩治氏は、「エンハンスト サポートを利用して、性能が期待どおりか、ボトルネックはないか、リソースは十分かなど、Google Cloud の性能評価も実施しています。これにより保守の質を向上したいと考えています。Google Cloud は、今後も利用範囲が広がると思いますので、期待するのは、よりよい環境をより低コストで利用できることです。そのための最適な構成を提案してもらえればと思っています」と話しています。

製造から物流、販売までのデータがリアルタイムに登録され、迅速な意思決定を実現

S/4HANA の運用基盤として、Google Cloud を採用したことで、より一層の安定性の向上やシステム停止リスクの極小化、さらなるコスト低減、データドリブン経営を見据えたデータ活用という 3 つの目的を達成しています。

緒方氏は、Google Cloud を採用した効果を次のように話します。「安定性の向上では、ライブ マイグレーションにより、計画停止以外のシステム停止ゼロを実現し、柔軟な割引プランやリソース設定などで、約 5 割のコストを削減、マネージド サービスも含めると約 6 割のコストを削減できました。」

データ活用では、S/4HANA や業務システムから抽出したデータを連携し、データ分析基盤の構築を実現しています。中須賀氏は、「製造から物流、販売まで、すべてのデータがほぼリアルタイムに登録され、そのデータに基づく迅速な意思決定を実現できます。オンプレミスの時代を知る人間として、技術面でも、コスト面でも、Google Cloud はすごいというのが正直な感想です」と話します。

S/4HANA を Google Cloud に移行するプロジェクトに関しては、ほぼ一段落したことから、今後は、リージョン、ゾーン、リソースといった Google Cloud の冗長化の概念を生かした DR 構成の実現や、内部統制を意識した運用の質の向上に取り組んでいく計画です。

「Google Cloud は、さまざまなプロダクトが提供されているので、他部門からの依頼や新しい分野にも利用できそうだと感じました。Google Cloud の担当者にもクイックに相談できるので、今後の活用が期待できます。もう少し使い続けると、年間のダウンタイムやレスポンス タイムなどの効果も数値化できると思います。」(池田氏)

今後の展望について緒方氏は、「データドリブン経営に向けたデータ活用では、BigQuery に期待しています。Google Cloud は、プロダクトの組み合わせで、自分たちでも PoC ができるため、更なる変革の推進力の向上として、すでに 4 名が Google Cloud の認定資格を取得しています。今後も Google Cloud を積極的に活用し、内製化率を向上したいと考えています」と話しています。


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株式会社ロッテ

1948 年 6 月に創業。チューインガムの製造販売から事業を開始。現在、菓子、アイスクリーム、健康食品、雑貨の製造および販売を事業として展開。2018 年 4 月に、株式会社ロッテ、ロッテ商事株式会社、および株式会社ロッテアイスの 3 社が合併。傘下に、株式会社 銀座コージーコーナー、株式会社 メリーチョコレートカムパニーなどがあります。 SDGs の一環として、2022 年に生産者や地球環境の持続可能性を重視したチョコレートづくりで知られる京都の専門店 Dari K株式会社をグループ会社化しています。

インタビュイー

・ICT戦略部 緒方 久朗 氏

・ICT戦略部 システムインフラ課 池田 裕介 氏

・ICT戦略部 システムインフラ課 中須賀 浩治 氏


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