十六フィナンシャルグループ: Google Workspace 導入で DX を加速し、岐阜・愛知の地域経済をさらに活性化

Google Cloud Japan Team
「其の本(そのもと)栄えて末(すえ)栄える(本であるお客さまや地域が栄えることで、やがては末に位置する銀行が栄えることにつながる)」という行員心得のもと、明治 10 年の創業以来 140 余年にわたって、岐阜・愛知の地域経済を支えてきた株式会社 十六銀行(以下、十六銀行)。その十六銀行を中核とする株式会社十六フィナンシャルグループが、DX を指針の 1 つに掲げ、新たに生まれ変わろうとしています。この取り組みにおいて Google Workspace がどのような役割を担って導入され、いかに活用されているのかを、DX を推進してきた 3 名のキーマン、そして Google Workspace の導入をサポートしたソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)の担当者に伺いました。
利用しているサービス:
Google Workspace
ソフトバンクとの二人三脚で Google Workspace を活用
ゼロ金利、マイナス金利時代が長く続く中、持続的な成長を実現するべく、多くの銀行が業務の変革に取り組んでいます。岐阜・愛知両県に店舗網を持つ十六銀行もそうした銀行の 1 つです。同行は 2021 年 10 月、ビジネス環境の変化に柔軟に対応すべく持株会社体制に移行。現在は株式会社十六フィナンシャルグループ(以下、十六 FG)として、十六銀行を含めた主力事業の多くを子会社化し、迅速な意思決定と実行を追求し続けています。
さらに十六 FG は 2023 年 4 月からの 5 か年計画として、第 2 次中期経営計画をスタート。同グループで DX 推進を指揮する、十六 FG 執行役員 グループ DX 統括部長の浅井 裕貴氏(十六銀行 常務執行役員 DX 部長)は、変革にかける意気込みを次のように語ります。


「このトランスフォーメーション戦略を象徴する言葉として強く押し出したのが、『十六 FG を DX する』というキャッチフレーズです。当グループでは、相手に気を使うあまり無駄な作業が多くなりがちでしたので、浸透しやすい言葉で全社員に我々の目標を伝えるところから始める必要がありました。」
一方、組織的な特性を抜本的に変えていくためには、外部の力を借りる必要があると判断。第 2 次中期経営計画に先立って、企業の DX 支援に大きな実績を誇る、ソフトバンクとの協業も開始されました。
「もともとソフトバンクとは、社員向けのスマートフォン導入などでお付き合いがありました。当時からその提案力や行動力に対して感銘を受けていましたので、ベンダーではなくパートナーとしてより踏み込んだお付き合いをすべく、協業させていただくことにしたのです。2022 年 5 月にはその第一陣として、ここにいる村田さん、久保田さんが出向してくださいました。」(浅井氏)
ソフトバンクからの出向メンバーを加えた十六 FG は、コミュニケーションやコラボレーション環境の改善に着手し、グループウェアの刷新にも取りかかります。そこで導入されたのが Google Workspace でした。十六 FG グループ DX 統括部 担当部長(ソフトバンク株式会社 法人事業統括 デジタルエンジニアリング本部 デジタルエンジニアリング第 3 統括部 統括部長)の村田 拓郎氏は、採用の理由をこう解説します。


「数ある選択肢の中から Google Workspace を選んだのは、何よりソフトバンクが洗練された UI や使い勝手の良さを熟知しており、十六 FG の業務に最適だろうと考えたためです。Google Workspace を導入する際には、セキュリティを重視するがゆえにインターネットから分離されているという、金融機関特有のネットワーク事情を乗り越える必要がありました。この課題は、ソフトバンクが提供している ダイレクトアクセス for Google Carrier Peering 、Google Cloud に閉域接続できる仕組みを用いて解決。安全性をしっかり担保しながら、全機能を使えるようにしています。」
十六 FG グループ DX 統括部 担当部長(十六銀行 DX 部 部長)の久保田 健司氏によれば、Google Workspace を軸とした変革を進めていく際には、ソフトバンクならではの運用上の工夫もなされました。


「導入と浸透の過程では、ソフトバンクで採用しているアンバサダー制度を取り入れました。まずは行内各部署のリテラシーの高い人員をアンバサダーに任命し、Google Workspace を先行して使ってもらってから、活用の幅を全体へ広げていくやり方です。アンバサダー用のグループ チャットも作り、DX 部内の事務局が回答する仕組みも用意したのですが、いつの間にかアンバサダー間で教え合う良い流れも生まれました。」
Google Workspace 導入で組織文化を変革することに成功
ソフトバンクとの協業開始後、約 1 年半の準備期間を経て 2023 年 9 月より導入された Google Workspace。浅井氏はそのインパクトの大きさを指摘します。
「導入後すぐに生産性の向上を強く感じるようになりました。私自身、時間が取られがちな電話をしなくなり、社内のやり取りはすべて Google Chat に切り替えました。また、これまで多くの手間がかかっていた会議のスケジュール調整なども、Google カレンダーで関係者の予定を確認し、クリックするだけで完了できるようになりました。私たちのような組織ですと、上司の確認を得ずに予定を埋めてしまうことに対して懸念の声が上がりがちです。この点に関しては、事前に当社の経営陣の了承を取ることで、現場の抵抗感を払拭しています。」
Google Workspace を導入した初日には、浅井氏自ら「これは私たちの働き方を変えるためのチャレンジです」と宣言し、絵文字を使った簡潔なコミュニケーションまで奨励。アンバサダー制度の成功などもあり、当初の予想よりも早く組織文化が変わってきています。
「実は、それこそが導入の一番の狙いでした。やはり文化を変えないとトランスフォーメーションは実現できませんから。文化というのは内部から醸成されるものですが、変えるためにはまず外部から壊さなければなりません。Google Workspace の活用に関しても、従来の文化、やり方と融和させることはあまり重視せず、思い切り推進することを意識しています。」(村田氏)
十六 FG では Google Meet を用いた、ビデオ会議でのリモートワークも推奨。Google フォーム を使ったアンケート、容量を気にせず使える Gmail、Google ドキュメント、Google スプレッドシートの共同編集機能なども積極的に活用され、業務を最大限に効率化することに成功していると浅井氏は胸を張ります。
「働き方の変革を加速させ、大きな制約のあった勤務場所についても柔軟性を高めるべく、現在は社員のスマートフォンをはじめとした各種デバイスでも Google Workspace にアクセスできるような仕組み作りに取り組んでいます。トランスフォーメーションを推進していくことは、ひいては地域全体の活性化につながりますし、それこそが当社の担う使命だと考えています。」
ソフトバンクにはこの成果を十六 FG および十六銀行だけにとどまらせず、他の銀行にも広めていってほしいと語る浅井氏。この言葉を受けて、ソフトバンク側から今回のプロジェクトに携わった法人第三営業本部 東海営業統括部 第 3 営業部 2 課 課長の梅原 一喜氏は、将来への抱負を掲げています。


「今回、協業というかたちで地域の金融を担う『十六 FG の挑戦』に伴走させていただいたことは、非常に価値ある経験だったと考えています。ソフトバンクとしても、この取り組みで得た知見を、他行を含めた多くのお客さまに横展開させていただくことで、より大きな価値を生み出していきたいと考えています。」
トランスフォーメーション戦略をさらに推進し、地域経済の活性化に貢献
これらの成功を受け、Google Workspace の活用はさらに広がりつつあります。2024 年 3 月には十六 FG 全社への導入がすべて完了し、パートタイマーを含む、約 3,500 名ものメンバーが利用できる体制が実現。浅井氏は次のステップを早くも見据えていました。
「Google Workspace の導入は、十六 FG のトランスフォーメーション戦略の第一歩。今後は、本業の業務プロセス見直しなど、より深い部分に切り込むような変革も推し進めていくことになります。グループ間のコミュニケーションも、これまで以上に円滑にしていく必要があるでしょう。その意味でも Google Workspace が果たす役割はますます重要になっていきます。十六 FG では 2027 年 4 月、旧岐阜市役所跡地に新しい本社ビル『16FG オフィス&パーク』を開業する計画です。地域経済の活性化に貢献しつつ、幅広いお客さまにさらに喜んでいただけるよう、ソフトバンクと Google Cloud の皆さんには今まで以上に力を貸していただき、しっかりと一緒にやっていきたいですね。」


株式会社十六フィナンシャルグループ
1877 年(明治 10 年)に設立された「第十六国立銀行」(1896 年に株式会社 十六銀行に改称)を前身とする、銀行持株会社(2021 年設立)。十六銀行のほか、十六TT証券や十六カードなどの各種金融サービスから、カンダまちおこし株式会社のような地域振興事業にいたるまで、岐阜・愛知を基盤に多様な事業を展開する。
ソフトバンク株式会社
(Google Workspace パートナー)
1986 年 12 月 9 日に設立。「情報革命で人々を幸せに」という経営理念に基づき、移動通信サービスの提供、携帯端末の販売、固定通信サービスの提供、インターネット接続サービスの提供を事業として展開。Google Workspace の導入支援も多数手がけており、操作スキルや業務効率の向上を目的とした研修プログラムや独自のエンドユーザー サポートを通じて、導入後の活用促進や DX の推進を展開している。
インタビュイー(写真右から)
株式会社十六フィナンシャルグループ
・グループ DX 統括部 担当部長(株式会社 十六銀行 DX 部 部長)
久保田 健司 氏
・執行役員 グループ DX 統括部長(株式会社 十六銀行 常務執行役員 DX 部長)
浅井 裕貴 氏
・グループ DX 統括部 担当部長(ソフトバンク株式会社 法人事業統括
デジタルエンジニアリング本部 デジタルエンジニアリング第 3 統括部 統括部長)
村田 拓郎 氏
ソフトバンク株式会社
・法人事業統括 法人第三営業本部 東海営業統括部 第 3 営業部 2 課 課長
梅原 一喜 氏
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