コンテンツに移動
顧客事例

日本経済新聞社:『日経電子版』のアプリ基盤と全社データ分析基盤の刷新で開発・運用の負荷軽減とコスト削減を実現

2022年2月17日
https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/hero_image_nikkei_horizontal.max-2600x2600.jpg
Google Cloud Japan Team

Google Workspace セールスチームへのお問い合わせ

Google Workspace がチームのつながりやコラボレーションをどのように向上させるか、その詳細をご覧ください。

お問合せ

2010 年のサービス開始以降、有料会員数 79 万、購読数 261 万(2022 年 1 月 1 日時点)と経済紙では世界最大規模の発行部数を誇るまでに成長した『日経電子版』。信頼性の高いメディアの一つとして多くのビジネス パーソンやエグゼクティブから広く支持されています。この『日経電子版』のアプリケーション基盤およびデータ分析基盤に、今回新たに Google Cloud が採用されることとなった背景と、今後の展望について、デジタル事業・DX 推進のキーパーソン 3 名に話を伺いました。

利用しているソリューション:
クラウドネイティブ アプリケーションの開発データ ウェアハウスのモダナイゼーション

利用しているサービス:
Google Kubernetes EngineAnthosMulti Cluster IngressAnthos Service MeshBigQueryGoogle Workspace など

24 時間 365 日の高い信頼性と事業継続性を実現

2010 年の『日経電子版』のサービス開始をはじめ、業界の中ではいち早くデジタル化を進めてきた日本経済新聞社は、近年、クラウドへのシフトを加速しています。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/DSC_0005_for_blog.max-1300x1300_G7KWlBX.jpg

デジタル事業 デジタル編成ユニットの清水氏はその背景について、「日本経済新聞社では、『日経電子版』を含めた多くのシステムをオンプレミスで構築・運用してきましたが、近年はクラウドへの移行を加速しています。開発面では、サービスの展開速度を向上させることを目的に内製化を進めるとともに、クラウドシフトすることで運用負荷の低減も期待しています。一方、ビジネス面では、報道機関としての信頼性、事業継続性の確保を第一に、信頼性が高く、ほかのリージョンにも展開しやすい柔軟なクラウド化を意識しています」と話します。

さらに 2020 年からは組織を横断して顧客サービス / 業務 両方の側面から本格的に DX の取り組みをスタート。その顧客サービスの DX の柱を担うのが『日経電子版』の存在だと言います。

『日経電子版』は、日本経済新聞の紙面で提供される記事をウェブやモバイルなどのマルチデバイスで閲覧可能にするサービスで、第一線のビジネスパーソン、および経済に高い関心を持つハイクラスで良質なコンシューマーに利用されています。ウェブの特性を生かし、紙面より早く提供される記事があるほか、関連する専門誌からの記事や動画、電子版独自のコンテンツに加え、利用者が興味のある記事にアクセスしやすい機能も提供しています。

2020 年 10 月、日本経済新聞社は、この『日経電子版』の新たな基盤である Vessel の運用を開始しました。

デジタル事業 デジタル編成ユニット SRE チームの山崎氏は、「Vessel は Google Kubernetes Engine(GKE)と Anthos を中心に構成されています。全面的にマイクロサービスを採用し、常時マルチクラスタで運用することにより、局所的な障害に対してもサービスを止めることなく対応することができ、24 時間 365 日の高い信頼性と事業継続性を実現させています」と話します。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/DSC_0922_for_blog.max-1500x1500_45JzPOL.jpg

この背景には次のような理由があったと山崎氏は続けます。「『日経電子版』は、もともと GKE 上でサービスを提供してきましたが、最大の課題はサービスに影響を与えることなく、GKE クラスタをアップデートすることでした。GKE はライブ アップデートで実施されますが、サービス稼働中のクラスタをアップデートすることになるためサービスダウンの可能性がゼロではありません。ニュース メディアではその性質上、基本的にページのメンテナンスは認められないため、万が一サービスダウンしてしまうとロールバックが非常に難しい。リスクが少しでもある以上、クラスタのバージョンを上げたくても上げられない、"クラスタの塩漬け" 状態となってしまっていました。同じ理由で、Istio のバージョンもあげられず不具合の解消ができなくなっており、開発体験は向上していたものの、一方で運用コストが大きな課題となっていたのです。」

これらの課題解決を目的に、Anthos の採用を決定します。採用の主な理由は、マルチクラスタの Multi Cluster Ingress を利用できること、そして、サービス メッシュの Anthos Service Mesh を利用できることの 2 つだったと言います。

「Multi Cluster Ingress は、複数の GKE クラスタにトラフィックを振り分けることが可能で、クラスタレベルで GKE のローリング アップデートが実現できます。一方、Anthos Service Mesh は、マイクロサービスの運用をシンプルにすることができ、開発や運用の負担を軽減することができます。実際、サービスをユーザーから切り離してアップデートできるので、作業時の心理的な負担を軽減できました。以前は、検証まで含めて約 15 人日かかっていたアップデート作業も 1〜2 人日で完了可能となり、アップデートに対するコストを大幅に削減できました。また Multi Cluster Ingress でマルチクラスタを実現したことで、BCP(事業継続計画)対策を早期に実現できたという副次的効果もありました。さらに、以前は Istio のアドオンを利用していたのでトラブル発生時の作業負荷が高くなっていましたが、Anthos Service Mesh を採用したことで Google Cloud のサポートが利用でき、運用負荷の低減にもつながりました。」(山崎氏)

今後の取り組みについて清水氏は、「現在、Vessel は、東京リージョンで展開していますが、複数リージョンに分散することで、より一層の信頼性を確保したり、緊急事態に備えた耐障害性を強化できる仕組みを取り入れていきたいと思っています」と話しています。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/nikkei_architecture_vessel_for_blog.max-1700x1700.jpg

インスタンスの作成やスケールが不要なのがサーバーレスの魅力

同社で全社的に利用されているデータ分析基盤、Atlas には、BigQuery が採用されています。Atlas は、『日経電子版』や日経 ID 事業の閲覧データ、会員データの蓄積と分析、事業横断的な分析のための仕組みで、例えば、マーケティングや広告分野では、ユーザー セグメントの作成、作成したセグメントを使ったマーケティング施策の実施、『日経電子版』上でのターゲティング広告などに利用されています。アドホックなクエリは 1 日あたり約 2,000 件、バッチ処理のクエリは 1 日あたり約 1 万件実行されています。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/nikkei_architecture_atlas_for_blog.max-1700x1700.jpg

DX推進室 プラットフォームグループの小室氏は、BigQuery 導入前の課題について次のように語ります。「以前は別のデータ ウェアハウスを使っていましたが、計算資源が有限、分析用途の急な増加に対してスパイクが発生したときにスケールしにくいことが大きな課題でした。また、ディスクがひっ迫したため、データを外部に退避させる仕組みを作っていましたが、その運用やスキーマ管理の負荷も高くなっていました。」

そこで 2019 年の初めにデータ ウェアハウス刷新の検討を開始。いくつかのデータ ウェアハウスのクエリ パフォーマンスなどを比較した結果、BigQuery の採用を決定します。採用の理由を小室氏は、「最も重視したのはサーバーレスであることで、これに適合するのは当時の選択肢の中では BigQuery 一択でした。ストレージに制限がないのでデータレイクとしても使えることも評価しました」と話します。

さらに導入後の効果について、小室氏は、「マネージド サービスなので、自分たちでインスタンスを立ててシステムを構築したり、スケールしたりする必要がないのは魅力です。利用者からは、クエリの実行時間が早くなったという話も耳にしています。以前は実行に 40 分以上かかり設定上キャンセルされていたクエリもありましたが、現在では、ほぼすべてのクエリが 20 分以内に完了しています。また、デジタル部門のメンバーで利用している Google Workspace のスプレッドシートと BigQuery の連携がしやすい点にも魅力を感じています」と話します。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/DSC_0947_for_blog.max-1500x1500_81rm4OC.jpg

今後の取り組みについて小室氏は、「BigQuery のストリーミング インサート機能の利用範囲を広げ、Pub/Sub と Dataflow を使って、ユーザーの行動ログを BigQuery にストリーミング インサートすることで分析のリアルタイム性を高めたいと思っています。また現在は、自分でインスタンスを立てて JupyterHub を利用していますが、Google Colaboratory を使って BigQuery のデータを利用することで、JupyterHub のクラスタを管理することなく運用コストを削減することが期待できます。BigQuery との親和性が高い機械学習なども使ってみたいと思っています」と話します。

「日本経済新聞社は、新聞社の中では最も早くデジタル化を推進してきたという自負があります。新しい技術やトレンドを積極的に取り入れ、採用していくという社内文化もあります。今後も、Google Cloud プロダクトを効果的に活用することで Vessel や Atlas の機能をさらに進化させ、ユーザーに、必要な情報を正確かつ迅速に届けるためのシステム改善を続けていきます。メディアとしての信頼や誇りを守りつつ、常によりよいサービスを提供するためのチャレンジを続けていきたいと思っています。そのためのサポートを、Google Cloud には期待しています。」(山崎氏)



https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/DSC_0020_for_blog.max-1400x1400_rIftLvk.jpg

株式会社日本経済新聞社
1876 年 12 月 2 日、中外物価新報として創刊。1946 年 3 月、社名を日本経済新聞社に、題号を日本経済新聞に改める。新聞を中核とする事業持ち株会社で、雑誌、書籍、電子メディア、データベースサービス、速報、電波、映像、経済・文化事業などを展開。日本経済新聞・電子版購読数合計は 261 万以上、2010 年に創刊した日本経済新聞電子版は有料会員数が 79 万以上、無料登録会員を含む電子版会員数は 555 万以上(2022 年 1 月現在)。国内支局は全国 51 カ所、海外取材拠点は米州編集総局、欧州編集総局など 37 カ所。社是は「中正公平、わが国民生活の基礎たる経済の平和的民主的発展を期す」。

インタビュイー(写真左から)
・デジタル事業 デジタル編成ユニット 清水 赳 氏
・デジタル事業 デジタル編成ユニット 山崎 一樹 氏
・DX推進室 プラットフォームグループ 小室 貴之 氏


株式会社日本経済新聞社の導入事例 PDF はこちらをご覧ください。
その他の導入事例はこちらをご覧ください。

投稿先