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未来の働き方

物理的な空間を見直してつながりを育む

2022年12月5日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 11 月 18 日に、Workspace blog に投稿されたものの抄訳です。

ここ数十年間で、私たちの働き方は根本的に変わったものの、オフィスやワークスペースの多くの要素は変化していません。業務環境が生産性や従業員エクスペリエンスに与える影響を考慮すると、今日の従業員のニーズを満たすために、物理的なワークスペースも進化する必要があるといえます。実際、Gartner の調査によると、物理的なワークスペースに満足している従業員は、競合他社よりも 16% 生産性が高く、自社に魅力を感じている度合いが 30% 高いことが判明しています。

私のチームは Google で、人々のつながり方や働き方が進化してもずっと機能性と活気を維持できるように職場を設計しています。Google が初めて構築したキャンパスを設計する際、イベント、交流、学習などすべてをサポートできる空間づくりを重視しました。個人で集中できる静かな空間を確保する一方で、一緒に仕事をしているけれども席が遠い同僚とコラボレーションできる場所も確保するなど、対処すべき課題はいくつもありました。目標は、ニーズの変化に応じて柔軟に対応できる空間ソリューションを見つけることでした。

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写真: Mark Wickens

物理的なワークスペースとデジタルなワークスペースの接点を見直す

言うまでもなく、進化が必要なのはオフィスのデザインやレイアウトだけではありません。職場そのものの概念も捉え直す必要があります。新しいワークモデルにより、企業は、オフィスビルの壁に囲まれた場所という概念を超えるものとして職場を定義する必要に迫られました。従業員は隣に座っている同僚と同じように、別の都市にいる同僚と簡単につながる必要があります。これを実現するのが、リアルタイムで時を選ばないコミュニケーションとコラボレーションを可能にするデジタルツールです。

新しい時代のハイブリッド ワークでは、物理的なワークスペースとデジタルなワークスペースをシームレスに統合する必要があります。Google では、物理的な同じ空間に一緒にいることで感じるエネルギーは重要だと考えていますが、創造性、生産性、つながり、そして健全性の最大化に柔軟にアプローチできるデジタル ツールも大いに活用しています。Google のチームは、Google Workspace を利用して、どこからでもつながり、つくり、協力しています。Google Workspace は、Gmail、Chat とスペース、Google Meet、ドキュメント、スプレッドシート、スライドなどにまたがった単一の統合ソリューションを提供します。職場環境の規範が進化し続ける中、手腕のあるビジネス リーダーは、Workspace のようなデジタル ソリューションと物理的なソリューションを組み合わせて活用し、従業員のニーズに応え、どこで仕事をしていてもつながりを感じられるようにしていくでしょう。

コラボレーションとつながりの拠点としてのオフィス

Google であれ、その他の勤務場所であれ、今日のワーカーが物理的なオフィスでの時間をより意図的に過ごしているのは明らかです。調査によると、自宅ではなくオフィスで働くことを選択する最大の動機は、つながりとコラボレーションだそうです。人々が働きたいと思うような環境を作り出すには、時間をかけて行くだけの価値がある、交流やコラボレーションの拠点として機能するオフィスが必要といえるでしょう。

過去 10 年間の調査をもとに、Google の従業員が高い成果を発揮できるのは、最もよく一緒に仕事をする同僚が物理的に近い場所にいるときであることがわかりました。これは、現在のチームメンバーだけでなく、隣のチームの同僚も該当します。私たちはこれを「ご近所さん」と呼んでいます。この「ご近所さん」にあたる従業員が 2 つのビルに分かれていると、たとえ隣のビルであってもつながりを感じにくくなり、気軽なやりとりや有機的なつながりが失われることがわかりました。Google の新しい Bay View キャンパスと Charleston East キャンパスでは、コミュニティ意識と帰属意識を高めるために、同じ屋根の下でチームとチームメンバーをサポートするというアプローチをとっています。メインフロアでは活気あるさまざまなコラボレーション空間を提供しており、隔離された会議室、「スプリント」のための空間、ワークショップ エリア、ラウンジ、さまざまな中庭などで、あらゆるスタイルのコラボレーションをサポートしています。

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近くの同僚とのつながり。写真: Iwan Baan

チームの空間の設計は、個人が深い集中力を維持できるようにしつつ、有機的なコラボレーションを行いやすくするための助けとなります。あらゆる規模の会議に対応できる、さまざまな快適なチーム用空間を従業員に提供することは、帰属意識を高め、チームを構築していくのに役立ちます。

また、1 人で仕事に集中できる静かな環境にアクセスできることも重要です。しかし、オフィス コンセプトの大半が、アクティブなコラボレーションと 1 人で集中する仕事を 1 つのスペースで両立させようとするものです。そのため、注意散漫となり、コラボレーションに影響が及びます。あらゆるタイプの仕事がシームレスに行えるように、集中するためのエリアとコラボレーション空間を分けて設置することをおすすめします。

物理的なエクスペリエンスとデジタル エクスペリエンスの調和

いつでもどこでも一貫した従業員エクスペリエンスをもたらすツールを提供することで、働いている場所を問わずに、チーム間のギャップを埋めることができます。また、従業員には、業務を遂行するのに役立つツールも必要です。どのデバイスからでも、アプリケーション間を簡単に移動して、すばやく情報にアクセスできることが重要です。たとえば、共有プロジェクトの専用のスペースを作成すると、分散したチームに一元的なハブを提供できます。各種アプリケーションのファイルの検索や共有、タスクの割り当て、ブレインストーミング、フィードバックがいつでも行えることに加え、すべてのやり取りの記録を保持することができます。同様に、Gmail、Chat、ドキュメントから Meet の通話にすばやく切り替えられる環境があれば、どこにいても、そのときの勢いを失わずにコラボレーションできます。

どのようなプロジェクトでも、コラボレーションが最もしやすいのは、従業員同士がお互いの顔を見て、お互いの声が聞こえる状況のときです。しかし、共同作業者が別の場所にいる場合、これは必ずしも容易ではありません。雑音が多すぎる電話会議がどのようなものか、ほとんどの人が知っているのではないでしょうか。ノイズ キャンセル機能を備えた会議用ソフトウェアは、音声を増幅し、雑音を自動的に識別して抑えることで、このような問題を軽減します。また、Jamboard のようなデジタル ホワイトボード ツールを使えば、チームメンバー全員が同じ部屋にいるかのように会議に参加できます。距離が離れているために、全員が同じ認識を共有するのが難しい場合、会議の招待状内に直接議題やメモを作成することで、チームは時間を節約できます。また、AI を活用したドキュメントの要約、テンプレート、コンテキスト情報により、スピードアップを図り、作業に集中して取り組むことができます。

Google Workspace は、どのような場所からでも没入感のあるつながりを実現するための、新しいデジタルツールの開発と改良にも取り組んでいます。スライドのスピーカー スポットライト機能では、会議のコンテンツ内にプレゼンターの動画を直接配置できます。また、Meet の自動動画フレーミング機能では、参加者を動画タイルの中心に表示し、いつでも再配置することが可能です。このような機能によって、人、アプリ、場所の境界線をなくすことができます。

従業員参加型の取り組み

職場環境、ワークスタイル、オフィスの規範、デジタルツールは進化を続けており、私たちも皆、学びながら進んでいます。そして、こうした進行形の学びが将来の成功の鍵となるのです。Google では、従業員とのオープンなコミュニケーション チャネルを維持し、従業員の進化するニーズに対応し、共に学んでいけるよう努めています。私たちは、ロードマップと進捗状況を共有するために、専用の Google サイトを作成し、従業員が会話に参加できる専用空間を設けました。

また、定期的に全員参加の会議を開催してワークスペースに関する最新の変更内容を知らせ、全従業員が情報を共有できるようにしています。このような会議と同時に、ブルースカイ(制限を設けない)ブレインストーミング セッションを行ってもよいでしょう。これにより、オフィスの可能性についての期待感を高め、チームがその魅力的な新しい未来を共同で創造できるようにします。

進化し続ける職場

今日うまくいっていることが、必ずしも 5 年後や 2 年後、さらには 1 年後でさえ、うまくいくとは限りません。これを覚えておくとよいでしょう。オフィスビルの壁を越えて職場を再定義するというマインドセットによって、将来起こりうる事態に対応できるようになります。

私たちは、リモートワークが従業員に新たな自由をもたらすのを目の当たりにしました。一方で、対面でのつながりが、持続的なイノベーションや複雑な問題解決においては特に、今後もかけがえのない特別なものであることも理解しました。理想的なハイブリッド業務環境は、オフィス内の従業員が簡単にコラボレーションしてつながることができるようにすると同時に、オフィス外の従業員もチームの重要な一員であることが感じられるようなツールを提供します。ワークスペースを構成する物理的空間とデジタル空間が相互補完できれば、従業員の満足度が高まり、お互いを尊重する空気が生まれ、最大限に能力を発揮するための準備が整うのです。


- Google 不動産研究開発担当ディレクター Michelle Kaufmann
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