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未来の働き方

ハイブリッドな働き方に関するグローバル調査結果の考察

2021年11月26日
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Google Cloud Japan Team

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※この投稿は米国時間 2021 年 11 月 16 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。


Google Workspace は最近、ハイブリッドな働き方に関するグローバル調査を Economist Impact に委託して実施し、こうした働き方に潜む課題やチャンスについて探りました(2021 年 10 月)*。パンデミックが私たちの働き方を根本的に変化させたのは周知のところですが、この調査を通じて、その規模や影響範囲、持続性が浮き彫りになりました。

回答者のうち 75% 以上が、ハイブリッドかつ柔軟な働き方が今後 3 年以内に組織内の標準規範になると考えています。70% の回答者が、パンデミック前にリモート勤務の経験が皆無だったことを考慮すると、ハイブリッドな働き方がすでに主流のモデルとして定着し、今後もその状態が続くであろうことは間違いありません。

一方で、以下に述べるように、ハイブリッドな働き方によって深刻なギャップがもたらされていることも明らかです。このような働き方を長期的に持続させ、成功させるためには、こうしたギャップに対処することが課題となります。

ハイブリッドな働き方の定義

本調査および The Economist Group の包括的なプロジェクトの一環として、リサーチ、コンサルティング、ビジネスの分野の専門家ならびに社会的影響力をもつ人々に対してインタビューを行い、働き方の多様な変化を包含するような「ハイブリッドな働き方」の定義を求めることにしました。

Gartner 社のバイス プレジデントである Brian Kropp 氏は、「ハイブリッドな働き方とは、場所だけでなく、タイミングやスケジュールが異なることをも意味します」とコメントしています。

未来の働き方に関する調査および顧問グループである HSM Advisory 社のマネージング ディレクターである Harriet Molyneaux 氏は、ハイブリッドな働き方には無限のパターンがあることを、次のように表現しています。「9 時から 5 時までのオフィス勤務の場合は、時間も場所も制限されます。一方、世界のどこでも、いつでも、という働き方には時間や場所の制限はありません。ハイブリッドはその中間に位置します」

筆者は、Brian 氏と Harriet 氏の意見に同意します。ハイブリッドな働き方の定義において根幹を成すのは、場所と時間の柔軟性です。つまり、従業員の勤務場所や時間が厳密に定められていない、柔軟な勤務形態と言い表すことができます。

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Economist Impact の「Making hybrid work human」より

では、この定義と枠組みを前提として、ハイブリッドな働き方の現状と今後について考察してみましょう。

個人の幸せが確立される一方で、組織内でのつながりが犠牲に

パンデミックが始まった当初、多くの企業では、生産性は維持されるか、それまでよりも向上しました。しかしその後、反動がやってきました。仕事の責任に加えて、家事や、子供の休校に伴う勉強のサポート、私生活でのさまざまな要求のバランスを取るのが難しく、人々の燃え尽き感が一気に高まったのです。

調査データによると、多くの地域で学校が再開し、仕事を持つ親の負担が減ったおかげで、人々の幸せ度は向上しています。回答者の大半は、自らの体験を踏まえたうえで、ハイブリッドな働き方は従業員の身体、精神、金銭、社会的な側面にプラスの効果をもたらすとしています。

しかし、このような個人の幸せは、組織的なつながりを犠牲にして成り立っているようです。調査結果によると、組織や同僚とのつながりが希薄になり、孤立感を覚える(57%)、人間関係を作る機会が減り、キャリアアップが妨げられる(62%)、同僚との付き合いが限られ、精神衛生上よくない(54%)といった回答が大半を占めています。

ハイブリッドな働き方を持続させるためには、リアルかつ具体的な方法でこの孤立感に対処する必要があります。単にオンライン会議の回数を増やせばいいというわけではありません。回答者の 72% が、オンライン会議は一体感や参加意識を向上させる効果があるとする一方で、68% はオンライン会議が多すぎると答えています。つまり、人々とつながるための自発的な新しい方法が求められているのです。

デスクトップ時代に作られた古いツールが、ハイブリッドな働き方で使い回されている

ハイブリッドな働き方を長期的に成功させるために最も重要な要素を尋ねたところ、世界中で共通してトップにあがったのが「時間と場所の柔軟性に寄与する新しいテクノロジー」でした。

これは率直に言って、喜ばしい結果です。なぜなら、Google Workspace はクラウドベースのプラットフォーム上に構築され、場所やデバイスを選ばずにコラボレーションを促進することを狙いとしているからです。一方で、企業がパンデミックによるニーズに応えるために四苦八苦している様子も浮かび上がってきました。たとえば、リモート勤務する従業員に対応するために、オフィスベースの旧式システムを急きょ調整して間に合わせているケースが少なくありません。特に、VPN など、デジタル上の摩擦をもたらす原因となる、理想的とは言い難いテクノロジーを利用しているケースが目立ちます。

こうした状況を反映するかのように、テクノロジーに関する主な懸念として、以下のような回答があがっています。

  • インターネット接続が不安定(Wi-Fi 接続が常時、ハイブリッドな働き方に対応するようなものであってほしい)

  • 速度の遅いツールや古いツールに頼っている

  • 複数の場所にあるファイルを参照、維持しなければならない

  • 業務を遂行するために必要なアプリケーションが多すぎる

筆者の見解では、ハイブリッドな働き方に新たなアプリケーションやコラボレーション手段は不要です。そうではなく、既存のツールや手段を使用しながら、もっと深く、意義深いつながりをもつことが求められています。

組織に導入済みのテクノロジー一式を評価するにあたっては、既存のツールを使って、望ましいハイブリッドな働き方(リアルタイムのコラボレーションや、情報共有のしやすさなど)を実現できるかどうかを目安にするとよいでしょう。それとも、テクノロジーの限界によって、従業員のハイブリッドな働き方が制限されてしまうでしょうか?

管理および文化的側面におけるギャップ

物理的に同じ場所で働くことを前提とし、ハイブリッドな働き方に対応しきれていないのは、ツールだけではありません。組織の文化的な側面についても同じことが言えるようです。管理職社員による一般社員の対面形式での見守りが減ることで、両者の間に不信感が生まれるとの回答が大半を占めています。一方で、柔軟な働き方に伴う監視は増えており、多くの人がそれによるストレスを感じているという結果が出ています。また、62% 以上の人が、上級管理職や同僚との交流の機会が減った結果、キャリアアップに差し障りが出ていると答えています。

さらに、管理職社員と一般社員の間の信頼関係を改善すべきであると回答した人が 70% 以上に及んでいるのも、注目に値する結果です。トレーニングと管理体制を万全に整えることによって(回答者の 60% がこの両方を求めています)、ギャップは部分的に解消できるかもしれません。しかし、ハイブリッドな働き方を取り入れている職場において、トレーニング プログラムを通して管理者がチームメンバーの信頼を獲得することは困難です。

管理者の役割そのものが、ハイブリッド モデルの要件に合わせて進化する必要があります。「ひとりきりのオフィス」と「多人数のオフィス」の間に横たわるギャップを管理者が解消できるようにするには、どうすればいいのでしょうか。筆者が Forbes の記事で論じたように、成果型よりもインパクト型へと誘導していくことが、チームのやる気と生産性を維持するための持続可能な指標であるといえます。そうすることで、管理者の基本的な役割から「監視」を取り除いて、その代わりに、コーチとして人と人をつなぐような業務に時間を割けるようになります。

ハイブリッドな働き方に伴うギャップの解消に Google Workspace を役立てるには

ハイブリッドな働き方を成功に導く方法については、今のところ決定的な答えはありません。2022 年以降も、組織において(Google も含め)、場所、文化、手順、ツールの適切なバランスを見出すために試行錯誤が繰り返されることが予想されます。

テクノロジーの観点からいうと、Google Workspace には、ハイブリッドな働き方によって生じつつあるギャップの多くを解消できるという独自の優位性があります。過去 1 年で、コラボレーション体験を深めることを目的とした数々のイノベーションを提供し、チーム内外での絆を強めることに貢献してきました。

たとえば、スマート キャンバスという新しいコラボレーション機能の提供を開始しました。これは、人々が共同作業をすでに開始している環境で、タブを切り替えたり、新しいアプリを開いたりすることなく、つながりを維持できるのが特徴です。また、コラボレーションの中心的な場所としてスペースの提供を開始しました。スペースを使うと、アイデアの共有、ドキュメントの共同編集、タスク管理を 1 か所で行うことができます。すべての作業が将来参照できるよう保存されるため、チームメンバーはそれまでのすべての会話、コンテキスト、コンテンツの履歴を確認したうえで、都合の良いときに気軽に参加して投稿できます。スペースは、個人ならびにグループ プロジェクトを健全な状態に保つために効果的です。

Google Meet では、各国言語への字幕翻訳をリアルタイムで追加する機能(現在プレビュー版)や、動画タイルをカスタマイズする機能、カメラやマイクをオフにする機能(会議疲れの解消に効果的です)が新しく導入されました。さらに、自動露出調整機能とノイズ キャンセル機能も追加され、参加者全員の姿が見やすく、発言が聞きとりやすくなっています。

さらに、挙手機能Q&Aアンケートなどの機能は参加意識を高めるのに役立っています。ハイブリッドな働き方でコンパニオン モード(現在プレビュー版)を使えば、これらの機能の真価を発揮させ、オフィスまたはリモートのどちらから会議に参加していても、まとまりのある会話を行うことが可能となります。Google ではコンパニオン モードを、オフィスと「それ以外のどこか」をつなぐ架け橋のようなものと捉えています。

個人の健全性という観点からは、Google カレンダーにサイレント モードを導入し、カレンダーをブロックすることで他者に邪魔されずに集中する時間をとれるようにしました。さらに、時間の分析情報では、自分の時間の使い方を見直して、必要に応じて調整することが可能です。

Google Workspace では、ハイブリッドな働き方の進化に合わせて、健全でシームレスなコラボレーションのサポートに継続的に取り組み、デジタル上の摩擦を取り除くとともに、人と人、ならびに人と組織のつながりの維持に努めていく所存です。


*調査の詳細: 2021 年 10 月に実施。4 つの地域(北米、ヨーロッパ、アジア太平洋、ラテンアメリカ)の 16 以上の業種、大小さまざまな規模の組織に所属するあらゆる年齢層の従業員と管理職社員 1,244 人から回答を収集。主にナレッジ ワーカーが対象だが、現場で働く人々も含む。全回答者のうち 20% はパンデミックを通じてリモート勤務をまったく経験していない(サービス業、小売業、運輸運送業、医療など)。


- Google Workspace デジタルワーク担当バイス プレジデント Prasad Setty
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