メールの誕生から 50 年、@ 記号はコラボレーションを促進し続ける
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 10 月 29 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
さまざまな技術のブレークスルーと同様、メールも 1 つの試みから始まりました。
1971 年、MIT を卒業したばかりの Ray Tomlinson 氏は、解決すべき面白い問題を探していました。彼は、現代のインターネットの原型である ARPANET の構築に携わることになり、就職後 1 年目にして、ネットワークに接続されたコンピュータの間でメッセージを送信するシンプルで独創的な方法を思いつきました。@ 記号の前にユーザーのログイン名を入力し、記号の後ろにコンピュータのホスト名を入力するアドレス システムを作り出したのです。最初にコンピュータ間で行ったテスト メッセージの送信距離はわずか 3 m にすぎませんでしたが、技術的なマイルストーンを達成しました。
2016 年に亡くなった Tomlinson 氏は、最初のテスト メッセージの内容を正確に覚えていませんでしたが、英語キーボードの一番上の文字列である「QWERTYUIOP のようなもの」だったと思うとインタビューに答えています。
この度、Google は Amazon、Microsoft、Yahoo Mail、M3AAWG(The Messaging, Malware and Mobile Anti-Abuse Working Group)などとともに、Tomlinson 氏によるメールの技術革新とメールの誕生 50 周年を #QWERTYUIOP と #50yrsofemail というタグで称えることにしました。
Gmail の登場
Tomlinson 氏の画期的な発明から 30 年以上経て、Google のエンジニア Paul Buchheit が独自のメールテストを行いました。2005 年のブログ投稿で、Buchheit は当時解決しようとしていた問題について次のように語っています。
「私のメールはひどい状態でした。重要なメッセージが埋もれ、やり取りが煩雑になっていました。1 台のパソコンに縛られ、ウェブ インターフェースが使い物にならなかったため、いつも肝心なメールにたどり着けないでいました。それだけでなく、大量のスパムにも悩まされていました。それが Gmail を利用することで、メールを一新できました。自分の負担になるものではなく、役に立つものとしてこれを構築できました。」
Buchheit はブラウザベースのメール プログラムとして、ユーザーが自分のメールを簡単に検索できる Gmail を生み出しました。Buchheit は Gmail が普及するか疑問に思っていましたが、他の Google 社員にベータ版をリリースしたところ、その検索機能とストレージ機能が大好評になりました。また、Gmail が 2004 年 4 月 1 日に公開された時点で、圧倒的な高速メール検索機能と 1 GB のストレージ上限(当時一般化していた受信トレイの 500 倍)が揃っていたことから、エイプリルフールのいたずらと考えた人は少なくありませんでした。
Gmail は現在、Google Workspace に組み込まれています。Google Workspace は、Google ドキュメントからスライド、スプレッドシート、Meet、Chat におよぶ統合ソリューションであり、30 億人を超える世界中のユーザーに利用されています。Google Workspace は、人々が職場、自宅、学校など、あらゆる場所でつながり、創作し、共同作業できる場所です。
メールの安全性が向上
2000 年代初め、受信トレイに届く大量のスパムに悩まされていたのは Paul Buchheit だけではありませんでした。スパムからフィッシング攻撃、マルウェアに至るまで、不要なメールに関する問題は悪化の一途をたどっていました。Google Workspace は毎日 1 億件を超える有害なメールが Gmail ユーザーに届くのを阻止しています。
「Google の進化した機械学習モデルでは、新たな脅威を認識してフィルタリングし、スパム、フィッシング、マルウェアがユーザーに届かないよう、その 99.9% 以上をブロックし続けています」と、不正行為対策技術担当シニア プロダクト マネージャーの Neil Kumaran は言います。
個人のプライバシーを尊重しながら安全性を重視したメール アプローチを設計することは、何年もの間 Gmail の基本方針でしたが、Google のプロダクト デザイナーはこれからも安全措置のさらなる向上を行っていきます。たとえば Google Workspace は先日、Gmail の Brand Indicators for Message Identification(BIMI)のサポートを発表しました。BIMI によって組織はメール認証の一部として自社ロゴの所有権を検証できるようになりました。BIMI により、メール受信者とメール セキュリティ システムにとってはメール送信元に対する信頼感が増し、送信者はさらに没入感の高いカスタマー エクスペリエンスを提供できます。
メールの機能が向上
時間の経過とともに、Gmail は単なるメールではなく一元化されたハブとして、今日のコミュニケーションのあらゆる方法をサポートするようになりました。
「パンデミックの初期に、Google Meet をすべての方に無料で提供し、Gmail から直接ビデオ通話の開始や参加を行う機能を開始しました。これにより、現実の世界で多くの人が一緒にいられなくても、つながりを維持できました」と、Google Workspace プロダクト管理シニア ディレクター Sanaz Ahari は言います。
また、テンプレート、オフライン メール、動的メールといった機能を使用して、ユーザーが作業時間と対応を効果的に管理できるようにすることにも注力してきました。こうした機能を使えば、メールから直接ワークフローを承認するなどの操作が可能です。先日、AppSheet in Gmail も発表されました。この新しい機能は、AppSheet で独自に作成したノーコード アプリケーションを Gmail の受信トレイで直接動的メールとして使用できるというものです。
また、スマート作成とスマート リプライを使用すれば、入力に応じた候補が表示され、メール作成がより迅速かつ簡単になります。
今日に至るまでの @ 記号の変貌
@ 記号は、デジタル時代初期に Ray Tomlinson 氏によって人々をつなぐ伝達手段に変わるまで、何世紀もの長い間、日の目をみることがありませんでした。イタリア語では「カタツムリ」、オランダ語では「サルのしっぽ」と呼ばれる地味な存在であった @ には明確な起源の逸話はないものの、16 世紀の海運記録で使用されていたことがわかっています。
@ 記号の最も知られている現代的使用法はメールアドレスと Twitter のハンドルですが、昨今ではスマート キャンバスを活用した Google Workspace でのコラボレーション変革にも欠かせない存在になっています。
「今日、Google ドキュメント、スプレッドシート、スライドに @ と入力すると、さまざまな共同作業の可能性が生まれます。おすすめのファイル、ユーザー、会議の招待状などを受け取れば、名前リンクを使用して適切な会話に参加できます。こうした機能にはすべて AI と機械学習が活用されています。これは、よりスマートでインクルーシブな共同作業のための大きな前進です」と、Google Workspace(Gmail、Chat、スペース)のマーケティング責任者 Bao Lam は言います。
50 年前に Ray Tomlinson 氏が最初のメールを 3 m 先の相手に送信して以来、@ 記号は大きな進歩を遂げました。今後の展開が楽しみです。
Gmail の関連情報
Gmail と Google Workspace をさらに活用するためのリソースを紹介します。
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- Google Workspace コンテンツ リード Dominic Smith