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AI と機械学習

生成 AI 導入ためのビジネスケース構築方法

2024年5月20日
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Michael Brenzel

Chief Workspace Evangelist, Google Workspace

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※この投稿は米国時間 2024 年 5 月 10 日に、Google Workspace blog に投稿されたものの抄訳です。

生成 AI 導入のためのビジネスケース構築方法

生成 AI を導入すると、ライターズ ブロックの解消から、戦略策定にかける時間の確保にわたるまで、多くの方法で生産性を高められることがわかっています。ただ、この高度なツールを、同僚と共有できるように会社で大規模に導入するには、本格的なビジネスケースが必要になります。上層部から賛同を得るには、生成 AI によってなぜ社内の生産性が高まり、創造性とイノベーションが促進されるのか、またなぜ事業運営方法さえも改善できるのかを示し、それらの実施方法を説明するビジネスケースが必要です。Gemini for Google Workspace などのツールの導入に向けたビジネスケースを構築するにあたり、ツールのメリットを効果的に伝える方法をご紹介します。

生成 AI の優れたユースケースを特定する

生成 AI にはさまざまな使用方法がありますが、自身の組織に最も役立つユースケースに基づいてビジネスケースを構築しましょう。たとえばカスタマー サービスを提供する企業の場合、Gemini for Workspace を使用すると、数十件ものお客様からのお問い合わせに、数時間ではなく、たった数分で対応できます。

Sports Basement のカスタマー サービス チームは、お客様への返信メールをほぼ瞬時に作成しています。その後、お客様のニーズや自身の個性に合わせてメールをカスタマイズできます。その結果、メールの下書きにかかる時間が 30~35% 減り、返信が早くなりました。また、仕事の満足度が向上し、返信の質が高まりました。

ビジネスケースの構築の一環として、自社の業界における生成 AI の成功事例を含めましょう。gemini.google.com に移動して、企業が生成 AI のおかげでブレークスルーを実現できたニュース記事を Gemini に検索してもらってもいいでしょう。まずは Gemini for Workspace を利用している企業の成功事例から検索してみてください。

費用の削減をビジネスケースに含めると一段と説得力が増しますが、「時は金なり」というほど時間も重視されているので、生成 AI による時間の節約について含めることも同様に効果的であることを心に留めておいてください。従業員は節約できた時間を、より高い価値を持つ、より戦略的な業務に利用することができます。

以下に、効果的なユースケースの例をいくつか挙げます。

  • 高品質のテキスト、画像、音声、コードなどが必要な場合に、生成 AI を利用して、プロセスや新しいアイデアのブレインストーミングを高速化する。たとえば、販売リーダーが Gemini for Workspace を使用して標準的なセールス提案をカスタマイズすると、さらに多くの潜在的顧客に、より短時間で提案を実施できるようになります。

  • Gemini を使用してデータを分析し、迅速に情報を取得する。山積みの調査レポートを自分で読んで理解し、新しいプロダクトのアイデアを得る代わりに、Gemini にレポートを読ませて傾向を把握してもらい、要約を作成してもらうことが可能です。

  • 「今すぐ必要な」プレゼンテーションの準備として手間のかかる作業を、Gemini にやってもらう。Gemini は、テキスト、グラフ、画像を使って Google スライドのプレゼンテーションを作成できます。既存のドキュメントを活用して、スピーカー ノートを作成することも可能です。

生成 AI の効果を示す具体例を追加する

ビジネスケースで示すメリットは、生成 AI を使って何ができるかを意思決定者に伝えられますが、生成 AI を使用した結果も示す必要があります。以下のような、メリットを効果的に活用できる分野を強調しましょう。

生産性の向上。Gemini for Workspace でコラボレーションすると、日常的な単純作業(販売提案作成の反復作業など)を減らし、コンテンツ作成とプロジェクト プランニングを加速できます。これによって、従業員はより多くの顧客に働きかけたり、ビジネス成長戦略を作成したりするなど、より価値の高い業務に集中できるようになります。

Attache Corporate Housing は、社宅用に家具付きの月極賃貸物件を紹介する会社です。Attache の従業員は、Gmail で Gemini の「文書作成サポート」機能を使用して、「滞在するすべてのお客様に卓越したカスタマー サービスと満足を提供する」という同社の使命を伝えるメッセージを作成しています。さらに、Google スプレッドシートの「データ整理サポート」機能は、計画を策定したり、スケジュールを把握したり、すべての最新情報をリアルタイムで確認したりするのに役立つため、同チームの秘密兵器となっています。

時間の節約。従業員が日常的な単純作業や時間のかかる作業から解放されると、ビジネスの成長につながるプロジェクトにさらに多くの時間を使えるようになるなど、他のビジネス目標に対して非常に大きな影響がもたらされます。このようなメリットを数値化するには、カスタマー サービス メールの送信や提案資料の作成など、自身の組織内で従業員が現在日常業務にかけている時間を把握することをおすすめします。次に、試験的に生成 AI に使用し、その新しいツールで同じ業務を遂行した場合にかかった時間を測定します。

Uber では、すべての従業員(特に開発者)の作業時間の節約に Gemini が役立っています。「Gemini for Google Workspace のおかげで反復的なタスクにかかる時間が短縮され、開発者が価値の高い作業に注力できるようになりました。また、代理店への支出が減ったほか、従業員の定着率が上がりました」と、Uber の CEO である Dara Khosrowshahi 氏は述べています。

イノベーションとインクルージョンの向上。Gemini for Workspace を使用すると、生産性が飛躍的に高まるだけでなく、これまで知られていなかった、または不可能だと思われていたワークフロー、プロセス、ビジネスモデルを実現する可能性が広がります。ビジネスケースでは、Google Meet での会議に、Gemini による字幕のリアルタイム翻訳機能を追加するよう提案しましょう。それによって、誰もが好みの言語で会議の内容を理解できるようになるからです。

テクノロジーのコンサルティング企業である Thoughtworks は、世界各国で勤務している従業員が、言語の壁を乗り越えてインクルーシブなコミュニケーションを行えるようにする必要がありました。Thoughtworks では、従業員の間でやりとりされるメッセージが Gemini によって翻訳されるため、より効果的なコラボレーションが可能になり、チームに連帯感が生まれています。

生成 AI 導入のビジネスケースをどう承認してもらうか

  • 問題と機会を特定する。コンテンツ作成のボトルネックや製品デザインの非効率性など、生成 AI で解決できるビジネス上の課題を提示します。

  • メリットを数値化する。このテクノロジーによって、コンテンツ、デザインのバリエーション、パーソナライズされたエクスペリエンスを生み出せることを説明します。また、収益の拡大、リピート購入の増加、顧客満足度の向上などのメリットが得られることを強調します。反復作業の負担軽減やよりインクルーシブな会議の実現など、ソフト面のメリットについても伝えましょう。

  • 影響力のある意思決定者に働きかける。導入の実現に協力してもらえそうな、明確に定義された役割を持つ最適なエグゼクティブ スポンサー、関係者、審査担当者を特定します。

  • パイロット プロジェクトを提案する。管理された環境で、会社が生成 AI の機能を試すことができるプロジェクトを特定します。

  • プロンプトの書き方のトレーニングを提案する。Gemini for Workspace を使い慣れたユーザーは、AI 搭載アシスタントと作業セッションを開始するための効果的なプロンプトの書き方を知っています。このようなスキルをチームが身につけるのに役立つ電子書籍「プロンプト ガイド 101」をダウンロードし、ビジネスケースに含めてください。

  • チェンジ マネジメント計画を含める。変化には常に困難がともないます。多くの従業員は、生成 AI の導入によって、自分の仕事がどう変化するか、あるいは自分の仕事が奪われるのではないかと懸念しています。従業員に与える影響を把握して対応しながら、生成 AI との連携によって業務が効率化かつ簡素化されてより有意義なものになることを理解してもらえるよう従業員を支援してください。

ビジネスケースを構築するにあたり、Gemini for Google Workspace についてのスキルを磨くことをおすすめします。Google の新しいブログシリーズで、仕事の生産性、創造性、品質を高めるための簡単なヒント、コツ、提案をご確認ください。新しい「プロンプト ガイド 101」は、効果的なプロンプトを書くために必須の電子書籍です。

-Google Workspace、チーフ Workspace エバンジェリスト Michael Brenzel

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